細胞培養加工施設(CPC)の許可とは|届出との違いと管理体制
再生医療におけるCPCの役割
再生医療では、患者さまから採取した細胞を、必要に応じて専用の施設で培養・加工します。
細胞は非常にデリケートなため、適切な環境のもとで取り扱い、細胞の状態や品質などを確認しながら管理することが重要です。
こうした細胞の培養・加工を専門的に行う施設が、細胞培養加工施設(CPC:Cell Processing Center)です。
院内CPCと院外CPCの違い
細胞培養で重要なのは、クリニックからの距離や、同じ建物内にあるかどうかだけではありません。
重要なのは、細胞を適切な環境で培養・加工するために必要な、施設の構造・設備・衛生管理・製造工程・品質管理などが適切に行われていることです。
CPCは、医療機関の中に設けることも、医療機関とは別の場所に設けることもあります。
院内にCPCを設ける場合は、診療を行う医療機関の中に、細胞の培養・加工を行うための区域や設備を設けます。
一方、医療機関とは別の場所にCPCを設ける場合は、細胞の培養・加工を行うことを目的とした施設として、必要な構造や設備、管理体制を整えた環境を確保することができます。
どちらの形態であっても、重要なのは、「院内にあるか、院外にあるか」そのものではなく、細胞を取り扱うために必要な基準を満たし、適切に管理されているかという点です。
CPCには法律に基づく管理が必要です
CPCは、単に細胞を培養できる設備を備えていればよいというものではありません。
再生医療で使用する細胞を培養・加工する施設には、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいた管理が求められています。
細胞を適切に取り扱うため、施設の構造や設備、製造工程、品質管理などについて、必要な基準を満たすことが求められます。
特に、クリニックとは分け、細胞培養に必要な空調や清浄度などを専門的に管理できる環境を確保するため、独立したCPCを設けるという考え方があります。
こうしたクリニック内(院内CPC)ではなく、クリニック外に併設された特定細胞加工物等製造施設で特定細胞加工物を製造する場合には、原則として厚生労働大臣の許可が必要です。
「特定細胞加工物」とは、再生医療に使用するために、採取した細胞に培養などの必要な処理を行ったものを指します。
そのため、「細胞を培養できる設備がある」=「再生医療に使用する細胞を製造できる」というものではありません。
法令に基づく必要な手続きを行い、定められた基準に沿って、細胞を適切に取り扱うことが求められています。
「許可」と「届出」は何が違うの?
CPCに関する法律上の手続きには、「許可」や「届出」があります。
これらは、どちらも行政に対して行う手続きですが、その意味は大きく異なります。
届出は、法律で定められた事項について、行政機関に必要な情報を届け出る手続きです。
一方、許可は、申請を行うだけで取得できるものではありません。
施設の構造や設備、衛生管理、製造工程、品質管理など、法令で定められた基準を満たしているかについて、必要な審査・検査を受け、その基準に適合していることが認められたうえで、業務を行うことが許可されるものです。
簡単にいうと、
- 届出=「このような施設・業務を行います」と行政に届け出るもの
- 許可=「定められた基準を満たしているかについて、審査・検査を受け、基準に適合していることが認められたうえで、業務を行うことができるもの」
という違いがあります。
つまり、届出は必要な事項を行政に知らせる手続きであるのに対し、許可は、施設や設備、管理体制などが法令で定められた基準を満たしていることについて必要な手続きを経たうえで、業務を行うことが認められる仕組みです。
そのため、許可を取得するまでには、申請書類を提出するだけでなく、施設・設備・管理体制などが定められた基準を満たしているかについて、必要な審査・検査を受ける必要があります。
特定細胞加工物等製造施設についても、施設の設置場所や製造する特定細胞加工物などによって、必要となる手続きが異なります。
そのため、「届出をしている施設」と「許可を取得している施設」は、同じものではありません。
許可を取得したCPCでは、どのような管理が行われているのでしょうか?
許可を取得したCPCでは、細胞を適切に取り扱うため、施設や設備だけでなく、実際の作業や品質についても管理が行われます。
例えば、
- 出入口や人の動線の管理
- 空調・換気の管理
- 空気の清浄度の管理
- 培養区域の管理
- 専用設備・機器の管理
- 作業者の衛生管理
- 細胞の識別・取り違え防止
- 製造工程の管理
- 品質検査・記録管理
など、さまざまな管理が行われます。
私たちが普段生活している空間には、目に見えない微粒子や微生物などが存在しています。
人が出入りすることで、衣服や身体などを介して、さまざまなものが持ち込まれる可能性もあります。
人にとっては問題のない一般的な環境であっても、体外で培養している細胞を扱う環境では、細胞を適切に取り扱うための環境管理が重要です。
そのためCPCでは、細胞を扱う区域の環境や設備、作業手順などを適切に管理することが重要になります。
許可を取得した後も、CPCの管理は続きます
CPCは、許可を取得すれば、それで管理が終わるものではありません。
特定細胞加工物等製造事業者には、法令に基づき、製造工程や品質、施設、設備などを適切に管理し続けることが求められています。
また、施設の許可事項に変更が生じた場合には、内容に応じた変更手続きが必要となります。
さらに、法令に基づく記録の管理や、必要な報告なども行われます。
つまり、CPCにとって重要なのは、「許可を取得すること」だけではありません。
許可を受けた後も、定められた基準に沿って施設・設備・製造工程・品質管理などを継続的に管理し、細胞を適切に取り扱える状態を維持していくことが重要です。
再生医療で使用する細胞は、患者さまからお預かりした大切な細胞です。
だからこそ、一時的に基準を満たすだけではなく、日々の管理を積み重ねていくことが、細胞培養加工施設には求められます。
リボーンクリニックとCPCは、それぞれの役割で連携しています
ここまでご説明したように、細胞の培養・加工には、専門的な環境と適切な管理が必要です。
リボーンクリニック(Reborn Clinic)は、九州再生医療センターの再生医療専門クリニックです。
リボーンクリニックでは、各院で患者さまの診療・治療を行い、採取した細胞の培養・加工については、当グループが運営する、法律に基づく許可を取得した細胞培養加工施設(CPC)で行っています。
つまり、患者さまの診療を行うクリニックと、細胞の培養・加工を行うCPCが連携し、それぞれの役割を担いながら再生医療を支えています。
現在、リボーンクリニックでは、当グループが運営する大阪と九州の2つの細胞培養加工施設で、細胞の培養・加工を行っています。九州の施設(九州再生医療細胞培養センター)は、九州再生医療センター内でリボーンクリニック本院に併設された、クリニックとは独立した施設として許可を受けています。
CPCの許可証について
再生医療を検討される患者さまにとって、「自分の細胞は、どこで培養・加工されるのか」ということは、とても重要な情報です。
治療の内容だけでなく、細胞がどのような施設で扱われ、どのような環境で培養・加工されているのかを知ることで、再生医療についてより正しく理解していただくことができます。
そのため、リボーンクリニックでは、細胞の培養・加工を担う施設について、施設情報や許可証に関する情報を公開しています。
許可証に記載された情報を確認できます
細胞培養加工施設の許可証には、施設について確認するための情報が記載されています。例えば、
- 施設名称
- 施設所在地
- 施設番号
- 許可年月日
- 法令上の位置づけ
などを確認することができます。